続・となりの詩人妻

関西を中心に活動中。朗読する詩人・河野宏子のブログです。

大人の正しい転びかた

大人になると転んでも大声で泣けない

すぐに立って仕事にいかなきゃいけないし

マスカラ落ちちゃうし

道端で見てる子どもに心配させてもいけないから

 

ちゃんと両手ついて

誰かの邪魔にならないように

怪我しないように

汚れないように

 

正しい転びかた、なんて

大人になってもできない

 

できたらできたで、そんな完璧な大人

きっとたぶんちょっと、嫌なやつだよ

 

大人になっても、いや大人だから

あなたもわたしも

たった2センチの段差で転んでしまう

あざもなかなか消えてくれない

でもさー、

生きてればそのうち消えるよ

だからお腹いっぱいなんか食べよ

思いきり身体にわるそうなやつ

 

剥がれた傷の場所なんてそのうち

思い出したくても 思い出せなくなる、あはは

 

だってわたしたちまだ

自転車でうんと 遠くまで走れる

 

 

「ことぶき!」復活しますよ

おはようございます。

今日のブログは、お知らせです。

f:id:kohnohiroko:20190203084546j:plain

 

ことばのオープンマイク「ことぶき!」

2019年7月21日(日)18:00開場 19:00開始

料金:ワンドリンクオーダー

場所:ライヴ喫茶亀 (大阪 谷町九丁目/上本町)

MC:河野宏子・ヤング嶋仲

 

休止していたことばのオープンマイク「ことぶき!」が、

月イチで復活します!当分は毎月第三日曜日の開催予定。

持ち時間ひとり5分、楽器はセッティングに時間のかからないもののみ可。

詩の朗読に限らず、歌でも漫談でもラップでもそれ以外でも

なんでもいいよー。

 

※エントリー受付しています。ツイッター@kohnohirokoのDM

もしくは kohnohiroko79@gmail.comまでどうぞ。

 

さぁ、新作書こうっと。

梅雨の朝のつめたさ

f:id:kohnohiroko:20190608081830j:image

梅雨空なのに

明け方は眩しくて目が覚めて

昨日借りてきた詩集をめくる。

久しぶりに

藤井貞和さんの詩が読みたくなった

 

「ラブホテルの大家族」って

改めて良い題

この本が発行された1984年と

2019年の今では

ラブホテルの印象も随分変わったと思うけれど

生殖目的の行為がたぶんほぼ行われてない場所

つまり大家族とはうんと遠いところにあるのに

生殖もそれ以外も入り口は同じ

 

生きながら少しずつ死んでいく。

 

女は生まれる前の赤ん坊ですら

卵子を減らしながら産まれてくるらしい

 

人間は矛盾を抱えてる

死の本質は

時間の海に溶けてなくなること、

なのかもね

 

 

 

 

傘がない、

六月の雨の金曜。

雨が降ると街の匂いが濃くなる。

今朝は思いのほかさらっとしているし空気が冷たい

このところかなり暑かったけれど

まだ夏じゃないのだな

 

つけた人自身の香りが強くなる香水、

そんなのあったら困るのかもしれないけど

雨が連れてくる匂いはうれしい

 

 

読みたい本はたくさんあるのに追いつかない

bookclub.kodansha.co.jp

今読みたいのがこの本。

blogos.com

を読むと、「傘がない」が「I've got no umbrella

じゃなくて「No umbrella」に訳された経緯なんかが書いてあって

それだけでもう意識がとてもとても深いところに入っていきそう。

 

などと書いてるうちに雨脚が強くなってきた

長靴とそれに合う膝丈のスカートを出す

会いにいく人はいない

 

去年気に入ってた傘の骨は、ずっと折れたまま

 

 

青の温度

f:id:kohnohiroko:20190606064151j:image

 

 

ひとりで家にいるときは

ひとりのときにしか観れないものを選ぶ。

かなりだらしのない格好で、

みたい場面を何度も繰り返したり

写真を撮ったり

 

誰とも共有する必要はないのに

観たものを言葉にしようとする病気

 

たまには忘れられたら。

 

 

 

 

花は早く枯れたがるものだよ

”昨日の街で出会った老人は言った

「花は早く枯れたがるものだ」

だとしたら僕は君の窓辺の花ほども

時間の重さを 知らないのかもしれない”

 

て詩を昔、書いたな

 

 

f:id:kohnohiroko:20190605064905j:image

どことなく滑稽な散り際。

 

時間があったので映画でも観ようと

DVDを借りにいく。

新しいものの情報が自分の中にほぼないので

ずっと観ようと思いつつ観ていなかったもの、に絞る。

 

「ミステリー・トレイン」

1989年。30年前か。

ジュンとミツコの衣装が良い。

あとミツコの口紅が登場時の白っぽいものから、

翌日真っ赤になるあの感じ。

全体的に色味を抑えた映像に、

赤い色が冴える場面がいくつも。

あと、ホテルの壁紙とベッドカバーの絶妙なうるささ

 

観ていなかったと思うんだけど

ひょっとしたら20年くらい前に観てたかもしれない

でも、20年も経つと自分の中での映画の評価が

かなり違っているものだし、ほぼ初見の気持ち。

 

枯れた花を葬って 曇りの水曜

 

花の巣

f:id:kohnohiroko:20190602072758j:image

↑花の中で肩寄せあって暮らしている。

 

友人と長いメールのやり取りをしていたら

アガペーとエロスの愛の話になった

夫婦に限らず、長く深い付き合いになると

この二つのどっちもがほしくなり

やがて曖昧になって混沌としてくる

さらにそこを過ぎると

ドロドロしたものは底に沈殿して

澄んで清く快適な場所になるのかもしれない

 

赤い芍薬をはじめて買った

白やピンクよりグロテスクだ

生き残るための装備をぞろっと揃えている

平穏な食卓のうえ

波風の起きようもない花瓶に挿さって